
2012.09.22
夜
ハイコーフェスの会場についた僕らは満天の星を見上げてた。メガネが壊れてしまっていた僕は、みんなが口々に漏らす驚嘆の言葉を、それを聞いて、感動するのだ。たしかにそこにあるのはわかる、都会にいたって、気付いてられるかな、とかなんとか。流れ星見たかい?そうかい、よかったね。それを聞いただけの僕にも見えるのよ。星が流れていくのが見えるよ。わかるかい?
そうやっているあいだ、主催者のみんなは、じっと身体を硬くして待っていて、手を前で組んで、少しお辞儀したような格好で。「ようこそいらっしゃいました、すみません。」「わるふざけして、すみません。」「ごめんなさい。」とか、いちいち言うので、僕は大物ミュージシャンを気取ったのであった。どちらでも合わそう。誰がどんな風に僕を扱っても、僕は自分が何者なのか知らないので、何にでもなれるし、その日が素晴らしいかどうかで、僕はうんこでも王様でもいいのだ。というわけで握手をして、ようこそようこそ、みんながよくしてくれて、ビールももらって、体育館で。気付くとひとりで体育館で寝ていた。
「これにサインしてください、200円で売るんで」とダイドーの缶コーヒーを渡してくれた。前のデザインのやつで、嬉しかったのであった。「狙って買ってきました」などと言う。どこかの部屋から音が聞こえてくるので、行ってみるとセッション大会になった。
先に着いていた平井くんもいっしょに、清志郎の歌を歌ったりした。あしたが楽しみだった。